第三者意見募集制度について

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1 第三者意見募集制度の概要
  第三者意見募集制度(以下「本制度」といいます。)は、裁判所が、特許権侵害訴訟等において、当事者の申立てに
 より、必要があると認めるときに、他の当事者の意見を聴いて、広く一般に対し、当該事件に関する特許法の適用その
 他の必要な事項について、意見を記載した書面の提出を求めることができるというものです。
  本制度は、令和3年の特許法改正(令和3年法律第42号)によって新たに導入された証拠収集手続であり、その内容
 は、改正後の特許法105条の2の11(以下「本条」といいます。)に定められています。また、本条は、特許法65条6項
 及び実用新案法30条において準用されています。

2 制度の趣旨
  近年、複数の業界が関係するIoT関連技術が目覚ましい発展をみせ、また、いわゆる標準必須特許に関するルール
 の形成が求められるなど、特許を巡る情勢に変化が生じています。このような状況においては、裁判所の判断が、当事
 者のみならず、当該特許権等に関連する多数の業界に対して事実上の大きな影響を及ぼす可能性があることから、裁判
 所が当該第三者の事業実態等も踏まえて判断することが望ましい場合があります。また、事案によっては、国際的な観
 点から捉えるべき争点が含まれることがあり、広く海外からも意見を集めることが望ましい場合があります。
  本制度は、上記のような事案について、裁判所が、適正な判断を示すための資料を得るために、広く一般の第三者か
 ら意見を集めることを可能としたものです。

3 対象事件
⑴ 本制度の対象となる事件は、次のとおりです。いずれの事件も、第一審は東京地方裁判所又は大阪地方裁判所が、控
 訴審は知的財産高等裁判所が管轄します。
 ア 特許権又はその専用実施権の侵害に係る訴訟(本条1項、2項)
 イ 補償金請求訴訟(特許法65条1項又は184条の10第1項)
 ウ 実用新案権又はその専用実施権の侵害に係る訴訟(実用新案法30条による本条の準用)

⑵ なお、審決取消訴訟及び特許権又は実用新案権以外の権利に関する訴訟は、本制度の対象ではありません。

4 申立て
⑴ 本制度は、当事者による証拠収集手続の一つとして位置付けられていることから、裁判所の職権によることはでき
 ず、当事者の申立てが必要となります(本条1項、2項)。本制度の申立てをする場合には、基本事件の係属部に申立書
 を提出してください(申立手数料及び費用の予納は不要です。)。

⑵ 申立書には、意見を求める事項(以下「意見募集事項」といいます。)及び意見募集の必要性を記載する必要があり
 ます(申立書の記載例は、こちら(PDF:76KB)をご参照ください。)。

⑶ 意見募集事項には、法律問題や経験則のみならず、商慣行や事業実態等の事実関係も含まれます。
  また、意見募集の必要性に関する事情としては、当該事件の判決が第三者に及ぼす影響の程度や、当事者による証拠
 収集の困難性(より具体的には、多数の業界に関係する発明に関する紛争であることや、意見募集事項について確立し
 た裁判例や学説等がないこと、関連する業界を正確に把握することが困難であること、海外における最新の知見を得る
 必要があることなど)等が挙げられます。

5 意見募集の実施
⑴ 裁判所は、他の当事者からの意見を聴いた上で、意見募集を実施する必要があると認めるときは、意見募集事項及び
 募集期間を定めて採用決定をします(本条1項、2項)。

⑵ また、裁判所は、採用決定の際に、意見募集の実施及び募集内容等を広く告知するために、募集要項を知財高裁ウェ
 ブサイト等に掲載します。
  募集要項には、事案の概要や意見募集事項等、第三者が意見を提出するために必要な情報が記載されます。また、事
 案によっては、英語版の募集要項を作成することもあります(募集要項の記載例は、こちら(PDF:129KB)をご参照
 ください。)。

⑶ 上記以外にどのような方法で第三者への告知をするかについては、事件ごとに裁判所及び当事者が協議して決めるこ
 とになります。例えば、募集要項を代理人事務所のホームページにも掲載したり、国内外の雑誌等に募集の告知文を掲
 載したりするなどの方法が考えられます。

6 証拠提出
⑴ 第三者からの意見は、書面で裁判所に提出されます(本条1項、2項)。
  もっとも、第三者から提出された意見書がそのまま証拠となるわけではなく、当事者は、意見書を閲覧・謄写した上
 で(本条3項)、書証として提出する必要があります。

⑵ 意見募集期間が経過した後に、裁判所から当事者に対して、第三者から提出された意見書の目録を送付しますので、
 閲覧・謄写の際の参考にしてください。
  また、閲覧・謄写の手続や書証提出の手続は、通常の場合と同様ですが、証拠説明書の記載方法や書証番号の振り
 方等、取扱いの詳細については、係属部にご確認ください。