審決取消訴訟(特許・実用新案)の進行について

トップ > 手続を利用する方へ > 審理要領・書式 > 審決取消訴訟(特許・実用新案)の進行について

審決取消訴訟(特許・実用新案)の進行について

 知的財産高等裁判所では,特許権・実用新案権に係る審決取消訴訟の審理充実と計画審理を実施するため,以下の要領による準備をお願いしていますので,この趣旨を御理解の上,御協力いただけますようお願いします。

知財高裁における審理要領について

 (知財高裁における審決取消訴訟(特許・実用新案)手続の流れ)(モデルケース)のとおり訴訟を進行するため、下記の要領により手続を進めますので、準備をお願いします。ただし、ウェブ会議を利用する場合や、民事裁判書類電子提出システム(mints)を利用する場合は、これと異なることがあります。

1. 第1回弁論準備手続期日の指定

 第1回口頭弁論期日より先に,第1回弁論準備手続期日を指定します。裁判所から照会書を送付しますので,弁論準備手続に付すことについての意見及び候補日を回答してください。

2. 第1回弁論準備手続期日に向けての当事者の準備

(1) 原告の第1回準備書面及び証拠の提出

ア 基本的書証の提出

 基本的書証とは、審決が引用又は例示した先行技術文献、審決が判断の理由において言及した手続関係の書面、本件特許の明細書・特許請求の範囲・図面、特許訂正等がある場合における訂正審判・訂正請求書等、及び手続違反を争う場合における関係する手続書面など、一般的に必要と考えられる書証のことをいいます。
 基本的書証は、証拠説明書とともに、概ね訴状提出から4週間後(具体的な日付は前記の照会書に記載します。)までに提出してください。書証の申出方法及び基本的書証の類型については、「審理要領・書式」中の「書証・電磁データの提出について」を参照してください。
 ※基本的書証として掲げられているのは、一般的に必要と考えられるものです。個別の事案において、審決取消訴訟における争点と関連せず証拠調べの必要性のない書証を提出する必要はありません。

イ 準備書面及び基本的書証以外の証拠の提出

A 原告は,遅くとも第1回弁論準備手続期日の10日前までに,第1回目の準備書面を提出してください。なお,提出期限については,別途定めることもあります。この書面では,審決(又は決定)の説示に対する具体的な認否と取消事由の主張をしてください。取消事由の主張は,この書面で全てを尽くしてください。

B 基本的書証以外の必要な証拠も,この時点までに全て提出してください。また,証拠説明書も同時に提出してください。

(2) 被告の答弁書の提出

 被告は,訴状送達後速やかに,訴状に記載された請求の趣旨に対する答弁及び請求の原因の記載に対する認否を記載した答弁書を提出してください。

3. 第1回弁論準備手続期日

 争点を明確にし,被告の反論,原告の再反論,技術説明会の予定の有無等,進行スケジュールを調整します。

4. 第2回弁論準備手続期日に向けての当事者の準備

(1) 被告の準備書面及び証拠の提出

ア 被告は,第1回弁論準備手続期日において裁判所が定めた期限(第1回弁論準備手続期日からおよそ1か月後)までに,原告の取消事由に対する反論を記載した準備書面を提出してください。被告の主張は,この書面で全てを尽くしてください。

イ 必要な証拠は,この時点で全て提出してください。また,証拠説明書も同時に提出してください。

(2) 原告の第2回準備書面の提出

ア 原告は,被告の上記準備書面を受けて,反論すべき点及び主張として補足すべき点があれば,第1回弁論準備手続期日において裁判所が定めた期限(上記(1)アからおよそ1か月後)までに,第2回目の準備書面を提出してください。

イ アに関連して追加・補充すべき証拠があれば,証拠説明書とともに提出してください。

5. 第2回弁論準備手続期日

 第2回弁論準備手続期日は,上記4(2)の原告の第2回準備書面の提出から約1~2週間後に指定されます。

(1) この期日で当事者の主張立証及び争点整理を実質的に終了することになりますが,必要に応じ,第3回以降の弁論準備手続期日を指定し,主張立証を続行させることもあります。

(2) 主張立証及び争点整理が実質的に終了した時点で,弁論準備手続を終結し,その結果を陳述する第1回口頭弁論期日の予定日を告知します。(口頭弁論については、7.をご参照ください。)

(3) 第2回又は第3回弁論準備手続期日あるいは第1回口頭弁論期日において,技術説明会を実施することがあります。(技術説明会については、6.をご参照ください。)

6. 技術説明会の実施

(1) 第2回又は第3回弁論準備手続期日あるいは第1回口頭弁論期日において,技術説明会を実施することがあります。技術説明会に当たり,専門委員が関与するのが一般的です。

(2) 技術説明会を実施する場合、次の資料を準備するようお願いします。

ア 専門委員が関与する場合,専門委員に交付する訴訟資料の写し

イ 技術説明会における説明資料(書証として準備してください。)

7. 口頭弁論の実施

 指定された期日に,法廷で口頭弁論が開かれます。ここでは,弁論準備手続の審理結果を口頭弁論において陳述する手続が行われます。その際,争点を5分間程度,口頭で説明してもらうこともあります。その後,弁論を終結し,判決言渡しの期日が指定されます。

8. 判決言渡し

(1) 判決が,指定期日に法廷で言い渡されます。なお,判決言渡し期日に出頭しなくても構いません。

(2) 判決言渡し後に,担当部書記官室で判決正本の送達を受けることができます。郵便による特別送達も可能です。

 原則として,以上のように進めますが,個別の事案に応じて,手続の流れが異なる場合があります。なお,当事者双方とも,準備書面が大部になる場合(20頁以上の場合など)は,準備書面の冒頭に,「原告の主張(取消事由)の要点」「被告の反論の要旨」とのタイトルを付けて,主張の骨子を記載してください。また,個別の事情は配慮しますので,お申し出ください。

1.第1回弁論準備手続期日の指定

期日指定がされたら速やかに,期日請書をファクシミリで送信してください。

2.第1回弁論準備手続期日までに提出するもの(提出期限は厳守してください。)。

原告被告
照会書に記載した期限までに(概ね訴状提出から4週間後)

基本的書証

証拠説明書

遅くとも期日の10日前までに(提出期限は別途定めることもあります。)

取消事由を記載した準備書面

基本的書証以外の書証等の証拠

証拠説明書

訴状送達後速やかに

答弁書

3.第1回弁論準備手続期日

 争点を明確にし,今後の進行スケジュール(被告の反論,原告の再反論,技術説明会の予定の有無等)を調整します。

4.第2回弁論準備手続期日に向けての準備

原告被告

再反論準備書面の提出期限が定められた場合

再反論の準備書面

第1回弁論準備手続期日において裁判所が定めた期限までに

反論の準備書面

書証等の証拠

証拠説明書

5.第2回弁論準備手続期日

 通常は,この期日までに,当事者双方の主張立証が完了し,弁論準備手続期日が終結されて,第1回口頭弁論期日が指定されます(口頭弁論については、7.をご参照ください。)

 必要に応じ,第3回弁論準備手続期日が指定されます。また,第2回又は第3回弁論準備手続期日あるいは第1回口頭弁論期日において,技術説明会を実施することがあります。技術説明会を実施する場合,専門委員が関与するのが一般的です(技術説明会については、6.をご参照ください。)

6.技術説明会を実施する場合の期日に向けての準備

原告被告

裁判所の定めた提出期限までに

専門委員に交付する訴訟資料の写し

技術説明会における説明資料(書証として提出)

裁判所の定めた提出期限までに

専門委員に交付する訴訟資料の写し

技術説明会における説明資料(書証として提出)

7.第1回口頭弁論期日

 弁論準備手続期日の審理結果を口頭弁論において陳述する手続が行われます。その際,争点を5分間程度,口頭で説明してもらうこともあります。

8.判決言渡し

 出頭しなくても構いません。担当部書記官室で判決正本を送達します(遠方の場合は,郵送します。)。

<注意事項>
上記は,知財高裁における審決取消訴訟(特許・実用新案)のモデルケースです。個別の事案に応じて,手続の流れが異なる場合があります。