(4) 我国の工学・技術が目指すべき方向

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これからの技術開発は,(1)エネルギー・資源・環境対応技術,(2)人間・情報・文化対応技術,(3)物財・サービス・機能・品質・寿命対応技術に向けられていくであろう(資料17)。

特に,当面の問題は,COP3で採択されたCO2 の削減であり,量的な目標値が定められていることから,その実行は日本の技術の近未来の最大の課題であると考えなければならないし,これくらいの勢いがなければ,実行は難しいであろう。そして,ここ数年間は,これに関連した新しい技術開発や,これをサポートする制度の創設などがどんどんなされていくはずである(資料18)。

今後の最大の問題は,目下,最大の影響力を持っている自動車産業に求められる,必須技術と新しい産業技術の構想・発展の根幹をなす素材に対する技術への期待である(資料19資料20)。

さらに,その先における我が国の技術開発は,今まで積み上げてきた日本の技術を活用した人口資源の開発や,より効率の高い産業システムの製品化等の高度産業フロンティアに向かっていくものと思われる(資料21)。

資料17

資料17:これからの技術開発の方向:図解/中心から矢印が3方向に出ており、時計回りにエネルギー・資源・環境の対応技術(E.R.E.Phase)の円、物財・サービス・機能・品質・寿命の対応技術の円、人間・情報・文化の対応技術の円がそれぞれ矢印の先にある。円と円の間には、時計回りに、エネルギー資源の枯渇/環境の汚染と破壊、等、個人・民族の意識の高まり/豊かさへの欲求増大など、人口の増大/食料の不足などが表されている図

資料18

資料18:COP3で採択された日本における削減目標。二酸化炭素・メタン亜酸化窒素は、6%減(対1990年)を2008年から2012年まで、PFC、HFC、SF6は、6%減(対1995年)を2008年から2012年までに実現する。京都議定書の実行は近未来の最大の技術的課題である:表/

資料19

資料19:21世紀の自動車に求められる必須技術と素材への期待。目下、最大の影響力を持つ自動車産業:図解/中心に基本性能、走行性能、燃費、デザインの円があり、上から時計回りに排ガス低減(低公害車)の円、メディアフリー(メディアフリー化達成)の円、安全技術(対02死傷者半減:衝突車体特性最適化は2009年/2013年、衝突試験世界標準化は2012年/2014年)の円、リサイクル(100%リユース:スマート材料は2020年/2026年、金属不純物除去技術は2012年/2017年、金属非劣化技術は2011年/2015年)の円、騒音低減(対02比騒音レベル半減)の円、地球温暖化防止(2Lカー実現:超軽量、高強度材料が2010年/2017年)の円となっている図

資料20

資料20:自動車用素材としての鉄鋼材料アドバンテージ。産業・技術の行方を大きく左右する材料技術:図解/中心に素材特性の円(高比強度、高延性、高強度、高加工硬化性、高比剛性、高剛性)があり、その外円が二次加工・部品性能(高成形性、良溶接性、品質安全性、高生産性、高コストパフォーマンス、部品耐久性、高疲労強度、部品信頼性)となり、さらにその外円が、インフラストラクチャー(経済性、リサイクル性、標準規格、豊富なデータベース、技術開発力、供給安定性、世界調達性)となっている図

資料21

資料21:日本に残されている高度産業フロンティアの例:図解/次の4つの円、超効率的持続可能(生産支援産業)、人機能支援産業(生命・生活・文化支援産業)、社会機能保全再生産業(自然環境保全再生産業)、人口資源開発産業(資源・物財再生産業)が表わされている図