1 電子情報通信学会の概要

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電子情報通信学会は,大正6年5月,電信電話の学術技芸の研究,知識の交換及び事業の振興を図ることを目的として「電信電話学会」として創立された。その後,学問の発展による対象分野の拡大に応じて学会の名称が複数回変わっており,現在の「電子情報通信学会」という名称は昭和62年1月から使用されている。
また,関連する学問分野が広汎にわたるようになってきたこと,学問分野がより先端化していることに対応するため,平成7年4月,専門分野ごとに学会を4つのソサイエティに分けるなどの機構改革も行っている(図12)。
各ソサイエティの研究分野(図34567)をみると,学会の運営もソサイエティごとに行われているのが分かる。

学会は,IT関連分野において責任を持つ学会として技術情報の提供,研究成果の発表を主要な活動として行っている(図8910111213141516)。特に,研究成果の発表では,先端技術が発表されることから特許庁が特許審査に際し行う新規性のチェックにも利用されている。
また,学会活動は,先端技術の情報を発信するということから,それ自体が社会貢献であるが,学会ではより積極的に様々な社会貢献活動に取り組んでいる(図17181920212223)。

図1

図1:タイトル「電子情報通信学会の名称と形態の推移」/大正6年5月に「電信電話学会」を創立。電信電話の学術技芸の研究、知識の交換および事業の振興を図ることを目的とし、開始の発行、研究発表等を開始。関連の学問・技術の発展と対象分野の拡大に応じて改称。昭和12年1月に「電気通信学会」と改称/昭和42年5月に「電子通信学会」と改称。さらに電子技術の急速な発展と社会の情報化の進展に伴い昭和62年1月に「電子情報通信学会」と改称。平成7年4月にソサイエティ制を導入し、現在に至る。4つのソサイエティ(基礎・境界ソサイエティ、通信ソサイエティ、エレクトロニクスソサイエティ、情報・システムソサイエティ)1つのグループ(ヒューマンコミュニケーション)

図2

図2:タイトル「学会の組織図」/理事会があり専門分野による構成(基礎・境界ソサイエティ、通信ソサイエティ、エレクトロニクスソサイエティ、情報・システムソサイエティ、ヒューマンコミュニケーションG)と地域による構成(北海道、東北、関東、東京、信越、北陸、東海、関西、中国、四国、九州)に分かれている図

図3

図3:タイトル「基礎・境界ソサイエティに属する研究専門委員会」:図解/回路とシステム(CAS)、情報理論(IT)、信頼性(R)、超音性(US)、応用音響(EA)、非線形問題(NLP)、VLSI設計技術(VLD)、情報セキュリティ(ISEC)、信号処理(SIP)、スペクトル拡散(SST)、コンカレント工学(CST)、思考と言語(TL)、情報と社会・倫理(SITE)、安全性(SSS)、ITS(ITS)

図4

図4:タイトル「通信ソサイエティに属する研究専門委員会」:図解/アンテナ・伝播(AP)、宇宙・航行エレクトロニクス(SANE)、衛星通信(SAT)、環境電磁工学(EMCJ)、ネットワークシステム(NS)、情報ネットワーク(IN)、通信方式(CS)、電子通信エネルギー技術(EE)、光通信システム(OCS)、無線通信システム(RCS)、コミュニケーションクオリティ(CQ)、光スイッチング(PS)、光ファイバ応用技術(OET)、テレコミュニケーションマネジメント(TM)、モバイルマルチメディア通信(MoMuC)、インターネットアーキテクチャー(IA)

図5

図5:タイトル「エレクトロニクスソサイエティに属する研究専門委員会」:図解/機情デパイス(EMO)、磁気記録(MR)、超伝導エレクトロニクス(S8E)、電子ディスプレイ(EID)、電子デバイス(ED)、電子部品・材料(CPM)、電磁界理論(EMT)、シリコン材料・デバイス(SOM)、マイクコ波(MW)、集積回路(ICD)、有機エレクトロニクス(OME)、光エレクトロニクス(OPE)、レーザ・曼子工レクトロニクス(LQE)

図6

図6:タイトル「情報・ジステムソサイエティに属する研究専門委員会」:図解/MEとバイオサイパネティックス(WBE)、オフィスインフォメーションシステム(OIS)、画像工学(IE)、言語理解とコミュニケーション(NLC)、コンピュータシステム(CPSY)、コンピュテーション(COMP)、人工知能と知誨処理(AI)、ソフトウェアサイエンス(SS)、データ工学(DE)、パターン認識・メディア理解(PRMU)、ディベンダブルコンピューティング(DC)、ニューロコンピューティング(NC)、知能ソフトウェア工学(KBSE)、音声(SP)、教育工学(ET)、医用画像(MI)、ソフトウェアインタプライズモデリング(SWIM)

図7

図7:タイトル「ヒューマンコミュニケーショングループに属する研究専門委員会」:図解/ヒューマンコミュニケーション基礎(HCS)、ヒューマン情報処理(HIP)、マルチメディア・仮想環境基礎(MVE)、福祉情報工学(WIT)

図8

図8:タイトル「情報提供(1)」/会誌の発行(全会員への配布と外部への販売)、会員に魅力ある技術の紹介・解説を含む機関誌、毎月1日発行(現在36000部作成)、年間ページ数:約1100ページ、技術講演会・シンポジウム、支部による企画・実施

図9

図9:タイトル「技術提供(2)」/書籍の提供。IT関連分野において責任を持つ学会として権威ある書籍を発行し、社会に役立つことを学会の責務と位置付け、活動を推進している。技術に関する専門書の発行。IT関連分野の多種類の単行本を継続発行。出版委員会において、著者の選定、内容のチェックを行い、発行。ハンドブックの発行。既に各種ハンドブックを発行済み。委員会体制を作り、内容企画、著者の選定、校正を行い、発行。大学における使用を目的とした教科書の発行。電子情報通信学会大学シリーズ(第2世代):51点(昭和58年〜)、電子情報通信レクチャーシリーズ(第3世代):63点(平成14年〜)

図10

図10:タイトル「研究成果の発表」:図解/大会。総合大会、ソサイエティ大会、FIT。国際会議。研究会。技術研究報告。論文誌。和文論文誌(オンラインジャーナル)(5誌)。英文論文誌(オンラインジャーナル)(4誌)。完全電子化ジャーナル(ELEX)(1誌)

図11

図11:タイトル「研究成果の発表(1)」:図解/総合大会、ソサイエティ大会、FIT。総合大会。毎年春に主催、参加者:約6,000名、講演件数:約3,000件。ソサイエティ大会。毎年秋に主催、参加者:約4,000名、講演件数:約2,000件。FIT(Forum on Information Technology)。毎年秋に、情報処理学会と本会の情報・システムソサエティとで共催、参加者:約1,500名、講演件数:約1,000件。個別の先端技術の発表の機会。特許庁での新規性のチェックに活用。

図12

図12:タイトル「研究成果の発表(2)」/国際会議。ソサエティが主体となり、専門分野のなかから相応しい分野に関する国際会議を企画運営するもので、継続的に開催。開催形態。電子情報通信学会が主催。他学会との共催。

図13

図13:タイトル「研究成果の発表(3)」:図解/研究会と技術研究報告。4ソサイエティと1グループの下に65の研究専門委員会が研究会を活発に開催。ホットな情報を持ち寄り、専門家間で議論をたたかわす本学会の研究活動の心臓部に相当。内容は極めて最先端で新規性があるため、社会からもきわめて高い評価。1年間に報告される件数は、研究会全体で約8,000件、研究会資料の総ページ数は約10万ページ。研究会資料は技術研究報告として提供され、国内の主要な図書館や多数の企業、大学において、最先端技術情報として利用。

図14

図14:タイトル「研究成果の発表(4)」:図解/和文論文誌とオンラインジャーナル。4ソサイエティで和文論文誌5誌を発行。年間で約1,000件、10,000ページを掲載。論文誌の内容を電子化。平成12年からオンラインジャーナルとして発信。

図15

図15:タイトル「研究成果の発表(5)」:図解/英文論文誌とオンラインジャーナル。4ソサエティで英文論文誌を4誌発行。平成15年度は約1,000件、12,500ページを掲載。国際的に高い認知度。IF(インパクトファクター)を取得。論文誌の内容を電子化。平成11年からオンラインジャーナルとして発信。海外から投稿が60%以上(ソサイエティによっては70%以上)

図16

図16:タイトル「研究成果の発表(6)」:完全電子化ジャーナル:完全に電子化した紙のない電子ジャーナルELEXを立ち上げ、平成16年4月10日に創刊号を発行。関係者の努力で、順調な立ち上がり。図解/ELEXの月別掲載論文数ならびに累積掲載論文数。(棒グラフ)4月:9件、累計9件、5月:7件、累計16件、6月:11件、累計27件、7月:16件、累計43件、8月:9件、累計52件、9月:12件、累計64件、10月:15件、累計79件、11月:13件、累計92件、12月:11件、累計103件、17年1月:11件、累計114件。

図17

図17:タイトル「社会貢献」学会活動そのものが本質的に社会貫献。本会が取組んでいる問接的な社会貫献。(1)JABEEの活動への参加(2) CPD (Continuing Professional Development)活動(3)子供の科学教室(4)先端オープン講座(5)社会への提言(6)国・公共機関からの要請への協力/最高裁判所に専門委員を推薦、経済産業省・文部科学省等その他機関への協力(日本学術会議、NII、日本工学会、学術著作権協会等)

図18

図18:タイトル「社会貢献(1)」JABEE活動について・日本技術者教育認定機構(JABEE)と協力して大学等の高等教育機関のプログラム認定活動を推進(平成11年度から立ち上げに協力)・このブログラムの卒業生については、ワシントンアコードに加盟している国(米国、カナダ、オーストラリア等)との間で、国際的に同等の教育を受けたことを相互承認・学会は、JABEEの要請に沿って審査チームを設置して審査を実籍し、大学教育の改菩に協力(平成14年度から専門分野の審査を実鹿)

図19

図19:タイトル「社会貢献(2)」CPD関連の活動・JABEEによる教育プログラム認定による教育改善とCPDを含めた技術者資格は車の両輪であるとの認識・この活動の中核としてCPD部会を平成14年4月に設置・平成15年11月に会員に対して、継続教育と技術者資格に関するアンケートを実施・アンケート結果を踏まえて、技術者資格のあり方について調査研究・この活動のなかで必須の継続教育に関しては、これまで実施してきた「先端オープン講座」の財産を有効に活用

図20

図20:タイトル「社会頁献(3)」子供の科学教室・本学会では.子供の科学離れを引き止めるべく、平成8年から小・中・高校生を対象とした科学実験教室を開催・参加者総数は平成16年度末の時点で12,000人以上・平成12年に、子供の科学教室の活動に賛同された元会員から同目的に使うという趣旨での寄付があり、これを機会に「子供の科学教室基金」を創設し、有効活用に努力・「子供の科学教室」活動を継続して進められる形とするため、会員から寄附を募ることとし、平成14年から実施したところ、多数の会員から寄附・活動としては、年間20回の開催を目標として、実験を組み入れた小人数科学教室を開催

図21

図21:タイトル「社会頁献(4)」先端オープン講座・昭和57年に生涯教育委員会を設置・昭和58年から生涯教育講座を開始、年2回継続実施(春と秋)・社会のニーズの変化を反映し、「先端オープン講座」と改称・平成16年秋の時点で、6,000人以上の受講者実績/最近、技術者の継続教育CPD教育(Continuing Professional Development)の重要性が叫ばれ始めたが、先端オープン講座は、時代を先取りしたものとなっており、今後、これまでに培ったノウハウを新たに展開されるCPD教育に有効活用

図22

図22:タイトル「社会貢献(5)」社会への提言(平成13年1月29日)・内閣官房に対して、「21世紀IT社会の健全な発展に向ナて」と題して提言・この提言のなかで、社会に向けて行動する学会となることを明言・公開シンポジウムを開催し、社会に向けて啓発活動を行うことを明記/「シンポジウム」提言を受けて「自然科学と人文科学による共創を」と題したシンポジウムを実施。「ネットワーク運用ガイドライン」小・中・高において、ネットワークを構築する場合のガイドラインを策定し、文部科学省に提供するとともに、学会ホームページで無料公開

図23

図23:タイトル「社会貢献(6)」/最高裁の専門委員の推薦要講への対応・平成15年7月の理事会で、協力する方針を確認・各ソサイエティに候補者の推薦依頼(分野、要求数を考恵)・選定委員会で最高裁の分野要求に合わせて人選・被推薦人の了承を確認・推薦者リストの提示/「専門委員が活動を開始するまでの経緯(Hl5年度)」10月中旬、最高裁から学会宛に正式依頼の送付。10月下旬、ソサイエティに候補者推薦の依頼。11月20日、ソサイエティからの推薦締切り。12月初旬、選定委員会で最高裁の希望を考慮して調整。12月初~中旬、調整結果を基に被推薦人に打診し、就任応諾。12月末、最高裁への推薦。H16年1月、専門委員に対する最高裁からの設明会を実施。H16年4月、正式任命。