アメリカ知的財産法協会代表団の来庁

 平成28年4月20日,アメリカ知的財産法協会(American Intellectual Property Law Association。AIPLA)の代表団23名が当庁を訪問し,当庁の裁判官のほか,東京地方裁判所の知的財産権部の裁判官も参加して意見交換会が行われました。AIPLAは,1897年に創設され,主として知的財産権に関係する約1万4000人の法律家から構成されている団体です。

 意見交換会では,AIPLAの元会長であるSharon Israel氏及び設樂隆一所長からの挨拶の後,AIPLA側からSharon Israel氏が「米国法における特許をめぐる損害の概要」(Overview of Patent Damages Under U.S. Law)と題して,米国における損害額の算定手法等の概要について,Yuichi Watanabe氏が「レックスマークインターナショナル社 対 インプレッションプロダクツ社事件判決(特許の消尽について)」(Lexmark International Inc. v. Impression Products Inc. - Patent Exhaustion -)と題して,米国連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)の大合議体(en banc)の判決の内容について,それぞれプレゼンテーションを行いました。当庁からは,設樂隆一所長が「均等論(知的財産高裁裁判所平成27年(ネ)第10014号同28年3月25日大合議判決)」(Doctrine of Equivalents - Judgement of Intellectual Property High Court Grand Panel, March 25th,2016〔2015(Ne)10014〕-)(PDF626KB)と題して,上記知財高裁大合議判決が示した判例法理の内容等について,中島基至判事が「日本におけるプロダクト・バイ・プロセス・クレーム」(Product by process claims in Japan)(PDF1019KB)と題して,昨年6月5日に言い渡されたプロダクト・バイ・プロセス・クレーム最高裁判決の内容と残された課題等について,それぞれプレゼンテーションを行いました。その後,双方から上記各プレゼンテーションの内容に関連して,米国におけるいわゆる実用特許と意匠特許の損害算定手法の相違等,米国消尽論における特許法とコモンローとの関係,陪審と裁判官との間の賠償額算定の相違及びその理由,プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する侵害の判断手法,上記知財高裁大合議判決が示した判例法理の読み方等について,活発な質疑応答がされました。

写真:意見交換会の様子その1

写真:意見交換会の様子その2