平成29年9月6日及び7日,大韓民国テジョン市所在の同国特許法院において,国際知財裁判所会議(2017 International IP Court Conference)が開催され,当庁から清水節所長及び中島基至判事が参加しました。
この会議は,大韓民国特許法院が主催し,同国,アメリカ,ドイツ,中華人民共和国,ベトナム及び日本の知財事件を担当する裁判官,弁護士,企業家などがパネリストとして参加して,「知財裁判所における協力と調和(Cooperation and Harmonization among IP Courts)」,「ビジネスからみた知財訴訟における新たな取組(New Challenges in IP litigation from Business Perspective)」,「製薬特許及びバイオ特許をめぐる最近の問題点(Recent Issues on Pharmaceutical and Biotech Patents)」,「情報通信産業における特許要件及び救済手段(Patentability and Remedies with a focus on the ICT Industry)」,「米国における特許訴訟の実務(Practices in patent litigation: United States)」,「アジアにおける特許訴訟の実務(Practices in patent litigation: Asia)」及び「EUにおける特許訴訟の実務(Practices in patent litigation: EU)」の7つのテーマについて,2日間にわたってセッションを行い,各国における現状の紹介や意見交換を行うというものであり,大韓民国の裁判官や弁護士などの法曹関係者を中心に多数の者が傍聴しました。
清水所長は,「特許裁判所における協力と調和(Cooperation and Harmonization in Patent Courts)」のセッションに,大韓民国特許法院李大敬(Daekyeong LEE)院長,アメリカ合衆国テキサス州北部地区連邦地方裁判所Barbara LYNN首席判事とともにパネリストとして参加し,知財高裁の概要,諸外国の知財裁判所や日中韓の知財裁判所との協力と調和などについて,スピーチを行いました。また,清水所長は,「情報通信産業における特許要件及び救済手段(Patentability and Remedies with a focus on the ICT Industry)」のセッションに,Barbara LYNN首席判事,Hyunjin CHANG大韓民国特許法院判事,JianzhongJIANG中華人民共和国北京知的財産裁判所判事,Martina SCHWONKEドイツ連邦最高裁判所判事,Sang-Jo JONGソウル国立法科大学教授とともにパネリストとして参加し,標準必須特許と権利行使,製品に含まれる小さな部品が特許権を侵害する場合における当該製品に対する権利行使というテーマなどを中心として議論し,日本の裁判例の立場等を紹介しました。
そして,中島判事は,「製薬特許及びバイオ特許をめぐる最近の問題点(RecentIssues on Pharmaceutical and Biotech Patents)」及び「アジアにおける特許訴訟の実務(Practices in patent litigation: Asia)」の各セッションにパネリストとして参加しました。そして,中島判事は,前半のセッションでは,我が国の製薬特許をめぐる記載要件,進歩性の判断手法等を紹介するとともに,延長登録された特許権の効力範囲を示した大合議判決を紹介し,後半のセッションでは,我が国で実施される技術説明会の実情等を中心として,我が国における専門的技術的知見の活用の在り方につき紹介しました。