平成20年3月27日及び28日,米国ニューヨーク市所在のフォーダム大学ロースクールにおいて,「知的財産法・政策に関する第16回年次会議(16th Annual Conference on Intellectual Property Law and Policy)」が開催され,当庁から浅井憲判事が参加しました。
この国際会議は,フォーダム大学ロースクールが企画・主催し,毎年開催されているもので,16回目を迎えた本年も,欧米やアジア等の世界各国から多数の知的財産法関連の法曹,政府関係者,学者等が参加しました。なお,浅井判事は,国際会議前日の26日,シンガポールのIPアカデミーとフォーダム大学ロースクールの共同開催にかかる「知的財産法・政策第5回アジア年次会議(5th Annual Asian IP Law and Policy Day)」にも参加しました。
国際会議のプログラムは,全体会及びテーマ別に行われる分科会で構成されています。全体会では,WIPO(世界知的所有権機関),WTO(世界貿易機関),EU(欧州連合)及び米国連邦最高裁判所における問題点等について議論が行われ,分科会では,特許権,著作権,商標権等に係る裁判実務や立法の動向等に関する最新の話題や問題点をテーマとして議論がされました。
浅井判事は,会議1日目,「KSR判決とその後-ヨーロッパとアジア(KSR and its Aftermath - Europe & Asia)」をテーマとした分科会にパネリストとして参加し,進歩性(非自明性)に係るヨーロッパ及びアジアの実情について,米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)のレーダー判事(Judge Randall R. Rader)ら他のパネリストと意見交換を行いました。
また,浅井判事は,会議2日目,「日本における特許法の実情(Japanese Patent Law Developments)」をテーマとした分科会にスピーカーとして参加し,「知財高裁の厳格審査?-特許庁の審決に対する司法審査("Strict Scrutiny? IP High Court of Japan - Judicial Review of the JPO Decisions")」との演題で,特許無効審判請求に係る不成立審決に対する取消判決の比率が高いことから直ちに,知財高裁の審査が厳格すぎると即断するのは妥当でない旨の報告を行いました。